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4.13.2016

【キャリア】フランスにおける職業教育の諸相(五十畑浩平著、社会政策第7巻第2号、ミネルヴァ書房)

大学の先輩の五十畑浩平さんに、社会政策学会誌「社会政策」第7巻第2号を頂いた。
せっかくなので、その会誌に収録されている五十畑さんの論文「フランスにおける職業教育の諸相」を一部、紹介したい。


フランスの雇用情勢
フランスの若年者(15歳~24歳)の失業率は22.8%(2014年の第1四半期)で全年齢層の失業率(9.7%)の2倍以上の数値。
若年層の非正規の割合は53.5%と、全年齢層の15.0%に比べ3倍以上高い。

フランスの若年者は厳しい雇用環境に置かれているが、その理由の1つと考えられるのが、本来であれば労働者を保護するはずの労働法の存在。
雇用形態にはじまり、労働者の処遇、賃金、さらには、労働時間や解雇に至るまで、フランスでは法による規制が随所にみられる。
本来はより多くの人員を雇いたくても、労働法によって雇うためのハードルが高く設定されているため、若年者をはじめとした求職者を雇えないでいる状態となっている。
このように、すでに職を得た労働者の権利を守るあまりに、かえって労働市場を硬直化させ、新規参入の若年者に対する雇用が制限され、結果的に若年者の雇用情勢が改善されないことにつながっている。


フランスの採用慣行
フランスの場合、非正規の職から正規の職に徐々に移行するのが一般的ととらえられている。
卒業したての若者は経験不足であるため、すでに職務経験のある「中途」との競争に負け、
やむを得ず非正規の職に就かざるを得ないからである。
しかしながら、逆に、非正規の仕事からキャリアをスタートさせるのが一般的であるため、
非正規の職から正規の職へのキャリアパスは、日本よりたやすいと言える。
日本の場合、非正規雇用は正規職へのステップとして機能していない。


キャリア形成
2004年に学業を終えて就職した若年者のうち、3人中2人にあたる66%が有期雇用や派遣などの非正規雇用からキャリアをスタートさせている。
3年後には正規雇用である無期雇用の割合が増え、正規のポストに就いているのは全体の63%となっている。
言い換えると、この世代の6割以上が正規雇用に就けるようになるまでに3年を費やされなければならない。

一般的に最初から正規の職に就くのは、日本とくらべると難しい状況のため、
在学中からインターンシップを行ったり、交互制職業教育(若年者の技術向上を図りながら公認された資格を取得するために教育機関での理論的学習と職場での実践を交互に組み合わせた職業教育であり、その代表的な制度に「見習訓練制度」がある)を受けて資格を取得したり、卒業後もインターンシップ、有期雇用、補助雇用など経験しながら、徐々に正規職へと移行している。


職業教育の理念
フランスの憲法は、「職業教育に接近する平等の機会を保障」している。とくに、個人の教育の費用負担に関しては、「無償」で行うことを「国家の義務」とも定めている。
フランスでは教育は、教育訓練を受ける個人ではなく、国家が費用を負担するものであるという概念が浸透している。
それは、教育は単に個人のためのみならず、教育によって身についた知識や技能は、職場に還元され、ひいては国家に還元されるという教育に還元され、ひいては国家に還元されるという教育に対する包括的な見方ができているからであると考えられる。

一方で、日本では、教育は自身あるいは子どもに対しての個人的な投資という意味合いが強く、国家が費用を負担することが理解されていない。
経済のグローバル化や高度情報社会化により、大卒生が参入するビジネス界はより高度なスキルを要求するようになっており、学生は質の面においてもスキルや技能を高めなければならなくなっている。
こうしたなか、グローバル化や高度情報化社会化がさらに進めば、個人や家計の負担がさらに高まる可能性がある。
したがって、こうした社会だからこそ、今後は、政府が職業教育により責任を持つことが求められており、そのためにも、現状では個人の支出に多くを依存している教育に対して、考え方を抜本から見直す必要があると考えられる。


4.08.2016

投資家的基準で就職を考える(with マイナビ2017)

就職において、どのような基準で企業を選ぶかは、人それぞれ違う。
自分の専門性や特性が、その企業の風土にあうかどうかは、就職してからでないとわからない部分も多々ある。

今回はマイナビ2017から、投資家的基準で、企業について考えてみた。


投資において、ローリスクローリターンな金融商品は、円預金である。
ハイリスクハイリターンな金融商品は、株式投資である。

投資の場合は、金融商品をバランスよく保有して、リスクを分担させることができるが、就職の場合は、自分の身は一つなので、そうはいかない。

これからマイナビ2017で企業を検索してみるが、
ローリスクハイリターンな企業はあるのか、投資の世界では、詐欺まがいかと疑いたくなる。
また、ハイリスクローリターンのような企業はあるのか、投資の世界では、金融機関のカモになっている可能性がある。
を考えてみたい。


さて、今回、ハイリターンの定義をマイナビ2017の企業検索の検索軸にある

  • 30歳平均年収が600万以上
とした。
検索結果は556社であった。
30歳平均年収が600万以上の企業の割合が多い業種を5位まで並べると、

1位:不動産 18.47% (99/536社)
2位:放送・新聞 9.33% (28/300社)
3位:調剤薬局・医療機関 6.89% (41/595社)
4位:人材派遣・人材紹介 5.83% (8/137社)
5位:出版・広告 5.09% (22/432社)


つづいて、ローリスクの定義を、本当は勤続年数15年以上としたかったが、マイナビ2017の検索軸にないので、
  • 平均残業時間が月20時間以内
  • 年間休日120日以上
とした。

残業時間が少なく、休日の多い企業は、健康的なワークライフを送ることができ、従業員満足度も高い傾向にあると思うからだ。
検索結果は1035社だった。
平均残業時間が月20時間以内、かつ年間休日120日以上の企業の割合が多い業種を5位まで並べると、

1位:調剤薬局・医療機関 15.46% (92/595社)
2位:ソフトウェア 13.47% (225/1670社)
3位:通信 11.9% (5/42社)
4位:金融 11.11% (80/720社)
5位:電力・ガス・エネルギー 6.79% (7/103社)

逆にワーストの順位は、
1位:外食 0.9% (3/330社)
2位:放送・新聞 1.0% (3/300社)
3位:流通・小売 1.59% (16/1003社)
4位:アミューズメント 1.84% (4/217社)
5位:物流 3.43% (13/378社)
となる。

各企業が平均勤続年数が公開していたら、リスクを測る上で、一つの指標となるので、参考にしたい。


ハイリスクの定義については、本当は平均勤続年数5年未満(もしくは、3年未満離職率3割以上)としたかったのが、マイナビ2017の検索軸になかった。
ハイリスクの定義ではないが、
  • 平均年齢が20歳代
で検索をかけてみた。
その結果、1359社あった。
平均年齢が20歳代の企業の割合が多い業種を5位まで並べると、

1位:調剤薬局・医療機関 33.27% (198/595社)
2位:アミューズメント 23.5% (51/217社)
3位:不動産 21.08% (113/536社)
4位:外食 18.18% (60/330社)
5位:金融 16.25% (117/720社)

これらの業種は、割と女性が多い職場でもあるかもしれない。



ハイリスクハイリターンな業種、ローリスクハイリターンな業種、ハイリスクローリターン(もしくはミドルリターン)な業種があることが、なんとなくわかってきた。


ハイリスクであっても、ローリターンな環境であっても、仕事内容にやりがいを感じて、満足度が高く仕事をしている人は大勢いるだろうし、仕事は大変でも、家庭が円満であれば、それはそれで充実した日々であろう。
ローリスクでハイリターンな環境に最初からいる人は、それまで相当な努力をしてきた人か、時代を読む目に長けている人かもしれない。

まずは人生において、自分が何を重視しているのか考えるのが大事なことだと思う。




※記事の転載はご遠慮ください。







4.02.2016

【キャリア】正規 非正規 メリット デメリット

正規雇用(正社員)のメリット
・ボーナス、退職金、福利厚生が充実、昇給の機会がある

・非正規雇用と比べて社会的信用度が高い

・期間の定めがない雇用で、定年まで雇われることが多い


正規雇用(正社員)のデメリット
・企業によってはサービス残業を強いられる場合がある

・異動や転勤がある場合がある

・非正規雇用と比べて採用されにくい





非正規雇用(契約社員)のメリット
・採用されやすい

・残業があってもサービス残業を強いられない場合が多い

・転勤がないことが多い


非正規雇用(契約社員)のデメリット
・賃金が安い、給料がほとんど上昇しない、退職金はない場合がほとんど
(住宅手当・家族手当等の手当がなかったり、ボーナスが出なかったりする可能性がある)
→結果:結婚や出産計画にかかわってくる(男性は結婚率が低い)
※億単位の違いが出ることも!

・能力を伸ばしにくい、キャリアアップの機会に乏しい
(教育の機会が平等でなかったり、重要な会議には参加できなかったりする可能性がある)
→結果:正社員になることが難しく、また転職しづらい

・有期雇用である
(会社から大事にされているという感覚をもてない)
→結果:従業員満足度が低いため、顧客満足度も低くなりがち


総合すると、以上のデメリットから、
社内では正社員から下に見られる場合があり(階層意識により卑屈になる場合も)、
社会的には信用が低くなったりする(住宅ローンの借入が難しい、結婚しづらい等)。

非正規雇用にも正規雇用にもデメリットな点はあるので、
問題が起きた時に対応できるよう自分にとってのセーフティネットは何かを考えておきましょう。

3.25.2016

【お金】103万、130万の壁(配偶者控除の条件)

夫がサラリーマンで、その妻(主婦)が家計を助ける為にパートなどに出てどのくらい働こうかと考える時に、考慮に入れることが多いのが年収103万と130万の収入の壁です。
月10~12万くらいのパート収入を考えている方にとって、130万の壁は非常に重要なので覚えていて損はないと思います。



《103万の壁:妻の年収が103万円以下であれば配偶者控除を受けられる》
配偶者の1年間の収入が103万円以下(月換算で85,833円以下)であれば配偶者控除(控除額:所得税38万円、住民税33万円)を受けることができ、所得税および住民税を軽減することができる。

配偶者控除の対象となる条件→1年間の収入が103万円以下、すなわち所得が38万円以下
※計算方法:103万円(収入)-65万円(給与所得控除額)=38万円(所得額)

(補足)103万円超から141万円未満の場合は、配偶者特別控除(控除額:所得税38~3万円、住民税33~3万円)の対象となり、収入に応じた控除が受けられる。
※配偶者特別控除は、夫の所得が1000万円以下であることも条件



《130万の壁:妻の年収が130万を超えると夫の扶養者と認められなくなる》
配偶者の1年間の収入が130万円(月換算で108,334円以上)を超えると、夫の扶養を外れるため、国民健康保険に加入し、その保険料を支払う必要が出てくる。また、国民年金保険料も支払う必要が出てくる。

(補足)サラリーマンの妻は国民年金保険料を払わずとも、第3号被保険者の手続きをしておけば国民年金加入とみなされ、将来受給できる年金額は同じとなる。平成28年度の国民年金保険料は月額16,260円。130万円超から150万円くらいまでのパート収入になる場合は130万円未満にパート収入を抑えたほうがお得という逆転現象が起きる。


2.14.2016

【キャリア】就職活動を始めるにあたって

どういった就職観を持てばよいのかを考えてみる。


【まずはじめに】
・受動的に勉強することと能動的に勉強することの違いとは?→ヒント

(ちょっと脱線)受動的である原因は何か→その原因を解決することはできるか?
          経済格差が教育格差を生んでいる?
          親の子への無関心(しつけ力の低下)?
          学校教育力の低下?
          

【能動的に問うてみる】
・学生と社会人の違いとは?そもそも両者に違いがあるのかという視点(疑問)も大切。
・なぜ働くのか?働くことによって、自分に何をもたらしてくれるのか?
・収入はどう生まれるのか?収入をどう生むのか?収入をどう生みたいのか?


【実際に人の話を聴きに行く】
・社会の現実(厳しさ)を知る。
  (例)望まない非正規社員が構造的に一定数生み出される
   (以下のワードで検索)交際女性がいる非正規社員は2割未満
   (例)家族4人を養うのに必要な年収は約400万円?共働きは必要?
・大学卒業後の選択肢は多様?そもそも大学卒業は必要?
  (例)セミリタイアとは逆の発想で、60代以降に本腰をあげて働くという考え方もある。
  (例)希望した会社(仕事)に就職できなければ、その会社を買収する(または起業する)という考え方はありか?


【備える】
・会社(仕事)選びの目を養う
   (例)採用試験の際に交通費を出してくれる会社は悪くない会社(経営者)だ。
   (例)従業員満足度を追及している会社は顧客満足度が高いことを知る。
・人的ネットワークの重要性
・お金の知識(資産運用、節税、ライフプランニング)
・労働法を知る→知って役立つ労働法(厚労省)


※記事の転載はご遠慮ください。





1.15.2016

ライフプランニング

中学・高校の時には、進路について考えます。
どの学校に行くかは、その後の就職に影響してきます。

大学生は、就職について考えます。
どんな仕事(仕事形態)につくかは、その後の人生に影響してきます。

社会人になったら、今後の人生のことについて、
考える機会がたびたびあるかもしれません。

仕事(キャリア)のこと、
住宅のこと、
子どもの教育のこと、
車や旅行のこと、
日々の生活のこと、、、。


そんな将来の見通しを立てるための
診断ツールを見つけましたので、
サイトを紹介します。



ライフプラン診断 日本FP協会
さくっと診断ができます。


ライフプランシュミレーション スルガ銀行
簡易版と詳細版の2つがあります。


ライフプランシュミレーション 全国銀行協会
こちらも簡易版と詳細版が2つあります。





10.14.2015

悪い企業ではない企業とは

ブラック企業という言葉は2013年の流行語に選ばれ、連日、各メディアにも取り上げられていることから、一般的に定着してきたと言えよう。社会問題化しているブラック企業に入社したことで、健康や人生設計が破壊されることもある。自分なりの「いい企業」観をもって、就職・転職活動を行うことが重要だと考える。
ただし、「いい企業」というのは個々の価値観に依るところが大きい。そのため、「いい企業」とはこういう企業だと定義するのではなく、こういう企業は「悪い企業(ブラック企業)」ではないよね、ということを、私の経験・知識上で定義してみたい。以下の定義にあてはまる企業だからと言って、その人にとっての「いい企業」だとは断言できないので、そのことは念を押しておきたい。


【仕事における家族や余暇活動の重要性を会社(社長・管理職)が考慮している】
■月の残業が多くても20時間、もしくは自分で残業時間のコントロールができる
  法定労働時間内での生産性を意識している
■有給を取得しやすい環境がある
■産休・育児休暇を取得しやすい環境がある
  女性だけではなく、男性も産休・育児のために有給を取得しやすい環境がある

 上記は、先輩社員訪問・説明会・選考時に確認することができる。入社して後悔するよりかは、積極的に質問項目の中に入れてよいと思う。例えば、説明会等で、ノー残業デーを設けましたとアピールする企業は、残業が多い企業と推測できる。就職サイト等でも、平均残業時間、有給取得率、産休・育児休暇率を明示している企業もあるため、参考にできる。

【社員の頑張りを正当・公平に評価する】
■従業員持株会制度がある
  利益が出たら、社員に還元する姿勢がある。自社株を買う買わないは別問題
■入社前に給与情報等が正しく伝えられる
  書面にて、給与査定(基本給、諸手当等)が出している
■死亡退職金制度がある

 入社前に、お金のことをうやむやにする会社は、従業員にベクトルが向いていない可能性があるため、注意したほうがよいと思われる。

【基本的なことができている】
■研修があるのであれば、その機会が全社員平等に与えられている
  万が一、倒産・事業売却しても、再就職に困らない知識・経験をつけることができる
■挨拶のある会社(社員間のコミュニケーションがとれている)

【採用を目的としないインターンシップを実施している】


■社会貢献を目的とした中高生等対象のインターンシップ(職業体験)を実施している


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10.01.2015

口コミサイト

入社する前に会社の雰囲気など知りたい場合は以下のサイトを参考にするとよいかも。就職サイトや会社説明会では、会社側の本当に言いたくないことは、明らかにならないことが多いので。書き手の主観によるところが大きいので、あくまで参考ということで。


『転職会議』
http://jobtalk.jp/

『社員による会社評価』
http://www.vorkers.com/

『キャリコネ』
http://careerconnection.jp/review/search.html

『カイシャの評判』
https://en-hyouban.com/

3.31.2015

仕事(会社)を選ぶにあたって

仕事を選ぶにあたって、

何を基準に選ぶのか。

優先順位をどのようにつけるのか。

極力、失敗しない就職・転職するために、

以下の項目に優先順位をつけて、

整理してみてはいかがでしょうか。

あなたにとっての「いい企業」に出逢えることを望んでいます。


  • 給料、ボーナス
     自分の貢献が収入にどのくらいつながるのか?
  • 休み
     有休消化率は?
  • 残業
     仕事時間をある程度、自分でコントロールできるのか?
  • 貢献
     仕事を通じてどんな貢献がどのくらいできるのか?
  • 価値
     仕事を通じて自分の価値がどのくらい高まるのか?
  • 転勤
  • 通勤時間
  • 仕事の厳しさ
     その会社の仕事の厳しさを理解し、それを許容できそうか?
     その会社を離職した人の理由を知り、それを自分がどう感じるか?
  • 会社の規模、知名度・ブランド

  
よろしければ、以下のリンクより興味のある記事をごらんください。

・投資家的基準で就職を考えたい→「投資家的基準で就職を考える」

・就職前に会社を見極めたい→ 「人生を無駄にしない会社の選び方」

・会社の内情を知りたい→ 「口コミサイト」

・どんな心構えで仕事をするのか→ 「ワークシフト」

・投資家的な視点で仕事をする→ 「僕は君たちに武器を配りたい」

・ブラック企業とは何かを知る→ 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」

・レールは一つではないことを知る→ 「キャリア教育のウソ」

・格差社会を知る→ 「格差社会 何が問題か」

・収入の得方について学ぶ→ 「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」

・自分の将来の経済的な見通しを見てみる →「ライフプランニング」


※記事の転載はご遠慮ください。


記事最終校正日:2016年1月25日

9.30.2014

【キャリア】知って役立つ労働法

労働法は就職を控えた人にとって非常に大事なものです。

たまたま厚生労働省のホームページに労働法の基礎知識が学べるページを見つけました。

労働法を知ることは、「労働者・使用者双方にとって不可欠」で、「働いていく上でいざというときに役立つ知識」とありますので、私も今回、勉強して、簡単にまとめてみました。



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労働法は労働者を保護するためにあります。
労働法について知識をつけておくことが、自身の権利を守ることにつながります。
労働法の保護を受ける「労働者」には、雇われて働いている人はみんな含まれます。


労働者が集団となることで、労働者が会社と対等な立場で交渉できるよう、
日本国憲法では、
①労働者が労働組合を結成する権利(団結権)
②労働者が使用者(会社)と団体交渉する権利(団体交渉権)
③労働者が要求実現のために団体で行動する権利(団体行動権)
の労働三権を保障しています(日本国憲法第 28 条)。
そして、この権利を具体的に保障するため、労働組合法が定められており、会社は正当な理由がないのに、団体交渉を行うこ とを拒否してはいけないとされています。
また、労働組合法は、会社が、労働組合に入らないことを雇用の条件としたり、労働組合の組合員であることなどを理由に解雇や不利益な取扱い(給料の引き下げ、嫌がらせなど)をすることなどを不当労働行為として禁止しています。




労働法では、労働契約を結ぶときには、会社が労働者に労働条件をきちんと明示することを義務として定めて います。
さらに、特に重要な次の6項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付しなければいけません(労働基準法第15条)。
①契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
②期間の定めがある契約の更新についてのきまり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
③どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
④仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換(交替制)勤務のローテーションなど)
⑤賃金はどのように支払われるのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)
⑥辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))


実際に労働条件が違っていた場合には、労働者は約束通りにするように要求できますし、そのことを理由にすぐに契約を解除することが認められています(労働基準法第 15 条)。
また、賃金などの労働条件は、会社と労働者で交わした約束(労働契約)で定められているものですから、会社は払うと約束した賃金はきちんと支払わなければならず、労働者の同意がないのに、労働者に不利益なものに変更することは、約束違反であり許されません(労働契約法第 9 条)。


働く時間の長さは法律で制限されています。
労働基準法では、1日の労働時間を8時間以内、1週間の労働時間を40時間以内と定めています(法定労働時間、労働基準法第32条)。
法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、あらかじめ従業員の過半数代表者又は労働組合との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出なければいけません(労働基準法第 36 条「36協定(サブロク協定)」)。
36協定により延長できる労働時間については、厚生労働大臣が定める「時間外労働の限度に関する基準」(厚生労働省告示)において上限時間が示されており、協定内容はこの基準に適合するようにしなければなりません(原則週15時間、月45時間)。
また、会社が労働者に時間外労働をさせた場合には割増賃金を払わなければなりません。
①法定労働時間を超えて働かせた時(時間外労働)は25%以上増し ※
②法定休日に働かせた時(休日労働)は35%以上増し
③午後10時から午前5時までの深夜に働かせた時(深夜労働)は25%以上増し
※1ヶ月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
さらにこの割増賃金は雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用されます。
「サービス残業」といって法定労働時間を超えて働いているのに時間外手当が支払われないということを聞いたことがあるかもしれませんが、それは労働基準法違反ですので、会社が支払わない場合は労働基準監督署に相談しましょう。


会社は1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩を勤務時間の途中で与えなければいけません(労働基準法 34 条)。
休憩時間は労働者が自由に利用できるものでなければならないので、休憩中でも電話や来客の対応をするように指示されていれば、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされます。


原則として有給休暇は、休養のためでもレジャーのためでも利用目的を問われることなく、取得することができます。
しかし、会社の正常な運営を妨げるようなことになるときに限っては、会社が別の時期に休暇を取るように休暇日を変更させることができます。
会社は有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取扱いをしてはいけません。


職場のパワ―ハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。
パワハラに当たりうる行為類型としては、
①暴行・傷害(身体的な攻撃)、
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、
④業務上明らかに 不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)、
⑤業務上の合理性な く、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)、
が挙げられます。
パワハラは内容によっては民法上の不法行為や会社が労働者に対し労働契約上負っている債務不履行責任や、刑法などに触れる犯罪(名誉毀損、傷害罪等)となる場合もあります。
パワハラを受けた際は、会社の相談窓口担当者に相談するなど、会社としての対応を求めることが大切です。
また会社で対応してもらえない場合や、社外で相談したいときは、総合労働相談コーナー、法テラスなどに相談することもできます。


仕事と家庭の両立を図りながら、充実した職業生活を送れるように、妊娠・出産、育児、介護をサポートし、働く男性、女性とも仕事を辞めずに続けられるような制度が設けられて います。
まず、出産を予定している女性労働者は、請求により産前6週間(双子以上の場合は14週間)、休業することができます。
また、会社は、出産後8週間は、就業させてはいけません(産前産後休業、労働基準法第65条)。
その他、会社に、妊産婦健診の時間を確保することや、女性労働者が医師等から指導を受けた場合に指導事項を守るための措置を講じることを求める規定(男女雇用機会均等法第12条、13条)、女性労働者が育児時間を取得できる規定(労働基準法第67条)もあります。
また、育児・介護休業法によって、原則として子どもが1歳(一定の場合は1歳6か月)に なるまで、育児休業を取得することができます。育児休業は、女性だけでなく男性も取得でき、両親がともに育児休業を取得する場合には子が1歳2か月に達するまでの間で1年間育児休業を取得することができます。
会社は対象となる労働者からの育児休業の申し出を拒むことはできません。
さらに、育児・介護休業法は、要介護状態にある家族を介護するための介護休業制度 を設けています。
これは、対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、最長で通算93日間取得することができます。
会社は対象となる労働者からの介護休業の申出を拒 むことはできません。
妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業などの申出をしたこと又は取得し たことなどを理由として、解雇その他不利益取扱いをすることは、法律で禁止されています (男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)。
こうした不利益取扱いに関する相談は、全国の都道府県労働局雇用均等室で受 け付けています。


従来からあった正社員という働き方に加え、「派遣」や「契約社員」、「業務委託・請負」といった様々な働き方をする人が増えています。
自分自身がどのような形態で働きたいのか(働いているのか)を知っておくことは、自らの働く者としての権利を守る上でとても大切です。

①派遣社員(派遣労働者)
派遣では、法律上の雇い主はあくまで人材派遣会社になります。
よって事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処しなければなりません。
しかし、実際に指揮命令をしている派遣先は全く責任を負わないというのは妥当ではなく、労働者派遣法において派遣元と派遣先が責任を分担するべき事項が定められています。

②契約社員(有期労働契約の労働者)
期間の定めのある労働契約は、労働者と会社の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります(ただし、更新により契約期間が延長することがあり ます)。
こうした期間の定めのある労働者は、正社員と比較し待遇が良くないことも多いので、契約社員への転換をせまられた場合などは慎重に検討することが大切です。

③パートタイム労働者(パートタイマー、アルバイト)
パートタイム労働者も、各種労働法が適用さ れます。
要件を満たしていれば、年次有給休暇も取得できますし、雇用保険や健康保険、厚生年金保険が適用されます。
平成27年4月1日の改正パートタイム労働法の施行により、パートタイム労働者の公正な待遇を確保をするため、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大などが行われました。

④業務委託(請負)契約を結んで働いている人
注文主の指揮命令を受けない「事業主」と して扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。
ただし、「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、その働き方の実態から「労働者」 であると判断されれば、労働法規の保護を受けることができます。
自分が「労働者」として労働法規の保護を受けることができるかどうか困った際には労働基準監督署に相談をしてみましょう。



8.21.2014

★大富豪アニキの教え(ダイヤモンド社)

 妻が買った本を借りて読んだ。これがなかなか面白い本で、参考になる考えが多かった。

「大富豪アニキの教え(丸尾孝俊著・ダイヤモンド社)」という本で、私が特にひかれた箇所を引用してみます。まさしく、こういう考え方もあるのか、こういう人もいるのか、という本でした。


◆天職
仕事は天職を探して、それに就職すののが一番なんでしょうか?
『自分の好きな仕事が見つからないっていうのはな、正直「マジそれ!何を言っちゃっているのかな?」と思うわ、オレに言わせたら。
ようするにや、「仕事が好き」とか「仕事が嫌い」とか、そんなことで仕事を選んでいけないんや。
いったんな、今、現状で、「好きな仕事」が見つかっていないのであればや…、「仕事」=「お金儲け」に置き換えてみるんやて。
ようするに、「好きな仕事」ではなくて、「ごっついお金が儲かる仕事」を選択すればええんや。
たとえばな、ごっつい儲かる仕事をしていてな、年収3000万円とか稼いじゃったとしたならばや、ほとんどの人は、その仕事を好きになっちゃうんじゃないのか?』
(177-178P)


◆就職・転職
会社選びのコツというのはありますでしょうか?
『やっぱり「人」や、「人」をちゃんと見んといかんのやて。すべては「人」にありや。
そんでな、「人」というてもな、「トップ」とか「社長」とか、そんなに偉い人でなくてもええんや。
むしろな、自分の同僚くらいの年齢の人とか、ちょっと先輩くらいの年齢の人とかを見てな、
そいつが「魚の腐ったような目をしたヤツ」なら、そんな会社は受けんほうがええわな。
逆にや、そいつらが「イキイキ、キラキラした目」をしたヤツだったら、そんな会社はええと思うねんな。
そや。あとはな、「平社員と上司の距離が遠い会社」とか、「平社員と社長の距離が遠い会社」はやめたほうがええな。
「社長は部長クラスとしか話さない」とかな、そういう会社はダメなんや。
逆にな、平社員と部長がメッチャ親しいとか、平社員と社長が一緒に食事をしちゃっているとか、
社長が1日1回は、現場にやってきて、みんなに話しかけるとかな、
そういう会社は「一丸」となっている会社やから、就職してもええと思うよ。
トップが常に「現場に来ている」みたいにな、トップがいつも最前線にいるような会社は、間違いなく強い会社やねん』
(225-226P)




5.15.2014

★★未来の働き方を考えよう(文藝春秋)

今回は「未来の働き方を考えよう(ちきりん著、文藝春秋)」について。

昨年買って、すぐ読んでいたが、ブログへのアップが遅くなってしまいました。


この本の主張は、

従来の考え方を改め、自分の人生をどのように生きたいかを真面目に考えれば、自由で楽な人生が送れる

ということ。

自分のキャリア観の育成の後押しに手助けしてくれる本ではないでしょうか。



下記引用::

これまでは、お金にしろ人的ネットワークにしろ、過去に貯めたものの多さ(=ストックの量)が人生の豊かさを規定していました。だからみんな必死で働き、頑張ってストックを増やそうとしてきました。
でも100歳まで生きるかもしれない時代に、過去に貯めた資産を後生大事に握りしめ、資産が減らないか、これで十分か、と心配しながら生きる人生は、楽しいものではありません。そうではなく、組織を離れても稼げる力や、年齢を重ねても新しいものに挑戦できる好奇心や前向きな姿勢、見知らぬ人とも良好な関係を築ける人付き合いの能力などが、人生の豊かさを決めていくのです
(87-88P)

ミニマムに暮らすという選択
今までは、一生懸命働き、よりたくさん稼いで、より豊かな生活を目指すことが一種の“常識”でした。しかしこれからは、必要生活費をできるだけ抑え、働く期間を最短化するという逆転の発想で人生を設計することも、ひとつの選択肢となります。方法論としては、若い頃にまとめて働いたうえで早期引退を目指す、最初から生活費をミニマムにし、短期のアルバイトだけで食べていくことを目指す、もしくは生活費がより安い国に移住して、さらに少ないコストで食べていこうとするなど、様々なバリエーションがありえます。それらをすべて合わせ、働く時間をできる限り少なくしようという人は、これから確実に増えていくことでしょう。
(120P)



<自分オリジナルの人生を手に入れるために重要な3つのステップ>

ステップ1:手に入れたい人生を明確にしよう

やりたいことのない人生を無駄だと言うつもりはありません。ただ私が言いたいのは、「自分がやりたいことが明確になれば、人生はものすごく楽になる」ということです。それが明確になれば、世間の常識に自分を合わせる必要がなくなります。より有名な会社に入るとか、よりよいお給料をもらうということに、ほとんど意味がなくなるのです。

ステップ2:複数の将来シナリオをもとう!

キャリア形成とは先行きの選択肢を複数考え、自分が進む道を意識的に選び、その道でやっていくために必要な知識やスキル、経験をどう身につけていくのか、自分で設計し、実現していくことです。「どこの会社に入るべきか」、「どの職業を選ぶべきか」なんていうことは、学生の就活レベルの選択であって、社会人のキャリア形成とは呼べないのです。

ステップ3:市場で稼ぐ力をつけよう

これから社会に出る人には、できるかぎり市場感覚を身につけられる仕事を選ぶことをお勧めします。この感覚を身につければ、時代が変わり、所属していた組織が沈み、人生が100年の時代になっても、一生苦労しなくて済むからです。市場から稼ぐ力がないと、せっかく将来を見据えて複数のシナリオを考えても、組織に守ってもらう以外の選択肢を選ぶことができません。反対に、市場が求めているものを提供する力と自信が身につけば、未来に向けて選ぶことのできるシナリオは、今よりずっと自由で多彩なものになるでしょう。どんな分野で働く場合でも、市場感覚こそが「稼ぐ力」に直結するのです。




11.14.2013

【キャリア】キャリア教育のウソ(ちくまプリマー新書)

「キャリア教育のウソ(児美川孝一郎、ちくまプリマー新書、2013年)」は、キャリア教育に少しでも関心のある人であれば、迷わずおすすめしたい本だ。日本の若者の現状を見つめる本は他にもあると思うが、この本は彼らにとって、道しるべを与えてくれる本だ。自己分析させたり、知識を与えて自信に変えたりする本ではない。「標準」が崩れてしまい、大変な時代になってしまったと著者は言う。そんないまを生きる若者に、間違えなく勇気を与える本と言ったら、言い過ぎだろうか。


「標準」が崩れてしまった事例として、四人の著者の教え子のキャリアが冒頭で紹介される。

・男性Aのキャリア
大学→大学院(修士)→外資系コンサル会社に就職「正社員」(四年)→独立して起業→順調に出発するが、取引先との契約が切れ、仕事がない状態に
・女性Bのキャリア
大学→大手外食産業に就職「正社員」(二年半)→アルバイトや短期の契約社員「非正規」(一年半)→結婚→離婚して、就職活動中
・男性Cのキャリア
大学(在学中からホームページの制作などを会社から請け負う)→就職活動をせず、卒業後も業務請負の仕事を続ける→30歳の時、会社設立
・女性Dのキャリア
大学→就職活動をせず在学中からやっていたアルバイトをそのまま続ける→教員免許取得し、採用試験に合格→小学校教諭へ


この四人の事例が、「キャリア教育のウソ」という題名を象徴している。以下に、気になった箇所を抜き出してみた。


キャリア教育の目的は「ストレーター(高校もしくは大学もしくは専門学校卒業の三年後も就業継続している人)」を少しでも増やすこと。
ただし現実には半数以下。

そんな予測不可能な世界に向けた準備のための教育(=キャリア教育)なんてそもそも可能なのだろうか。果たして成り立つのだろうか。
いま、現に学校や大学で展開されている「キャリア教育」は、そうした内容になっているのだろうか。この点については大いなる疑問がある。

いま流行りのキャリア教育が実施されている現場に行くと、必ず目にする現場に行くと、必ず目にするフレーズがある。「夢」「やりたいこと」「なりたい自分」「就きたい職業」……等々である。
キャリア教育において、「やりたいこと(仕事)」にこだわりすぎることが、なぜ“危うい”のか。僕が考える理由は、三つある。
①日本の雇用慣行においては、そもそもジョブ(仕事)に応じた採用や育成がなされないことが多い。
②「やりたいこと(仕事)」の見つけ方が、主観的な観点に偏ってしまう可能性がある。
③「やりたいこと(仕事)」を、その実現可能性や社会的意味との関係で理解する視点が弱いように思われる。

結局、僕が言いたいのは、大学生も含めて子どもたちに「やりたいこと(仕事)」を見つけさせたとしても、その選択の根拠は、ずいぶんと“底の浅い”ものになる可能性が強いということである。
そんなことをするくらいであれば、子どもや若者には、現在の日本の産業構造がどうなっていて、職業構成がどう変化し、実際の職場における労働(仕事)の実態が、いかなる状況にあるのかといった、職業や仕事についての理解を深める学習に力を入れることを薦めたい。もちろん、そこには、グローバル化した経済環境のもとでの日本経済のポジションについての理解なども入ってくる。

子どもや若者の「やりたいこと」は、必ずしも特定の職業や仕事という次元に落とし込まれる必要はない。
技術系なのか、事務系なのか、広い意味での対人サービスなのかといった「方向感覚」と、自分が働いていくうえで何を大切にしたいのか、何をやりとげたいのかといった「価値観」が、大まかにつかめれば十分である。
もちろん、実際に働いてみる前にすべてがわかるはずはないのだから、そうした「方向感覚」や「価値観」は、その後変化してもよい。年齢が低い時期には、大きく変化するかもしれない。しかし、それでも高校生や大学生くらいになれば、そうした変化は、ある程度の“幅”に収まるようになるだろう。そうしたぶれない「軸」をつくること、根っこにある自分の「軸」をつかむことが重要なのである。

さらに、僕がいま流行りのキャリア教育に違和感を持ってしまう点として、それが「やりたいこと」探しには熱心なのに、その「やりたいこと」が実現可能かどうかについての探求(判断)は、基本的に個人に任されている(ように思われる)ということがある。

僕は、キャリア教育には、生徒に「夢」や「やりたいこと」を見つめさせ、目標に向けた努力を促すという役割と、生徒の希望と「現実」との“折り合い”をつけさせる役割という、二重の役割があると考えている。いわば、生徒の希望や向上心を“炊きつける(加熱する)”役割と、それを適切に“冷却して”「現実」に着地させる役割である。

若い人たちには、日頃から「やりたいこと」だけに注目するのではなく、自分の「やれること」、現在の社会のなかで「やるべきこと」を意識してほしい。「やれること」は、言うまでもなく個人の能力や適性の問題である。では、「やるべきこと」とは、何だろうか。
現在の社会において、何が「やるべきこと」なのか、どこに課題があるのかを考えることは、子どもや若者の職業(仕事)選択の際の視点となってよい。若い人たちには、若い人たちには、働くとは、自らの仕事を通じて社会に参加し、貢献することなのだという意識を強く持ってほしいと思う。
そして、現実問題としても、「やるべきこと」の周辺には、職(求人)は豊富に存在しているのが常である。


今日の非正規雇用は、若者たちがどれほど努力しようと、どんなキャリア教育を受けていようと、一定のボリュームで「構造的に」生み出される。景気の浮沈により、そのボリュームには幅がありうるが、消滅することはおそらくない。
大人たちは、キャリア教育の推進によってフリーターを予防しようなどと“夢想”している。
もうそろそろ、そんなキャリア教育はやめにしたい。
学校が取り組むキャリア教育は、目の前の生徒や学生のうち何割かは、卒業後すぐに、あるいは将来、非正規雇用の形態で働くことになるという「現実」を前提にしたうえで、そのことへの「対応」を含めた教育へと転換すべきである。そうでなければ、目の前の生徒や学生に対して責任が持てない。

それにしても、こんな、すぐにでもできそうなことに、なぜ取り組めないのか。
学校の教師たちには「非正規で働く」ということに対する“生理的な”アレルギーがあり、自ら育てた生徒や学生には、そうなって欲しくないと強く願っている。そのことが、“望ましくない状態”に対するような教育に取り組むことを妨げていると考えられる。
しかし、それは、“ど真ん中”をついていない。“ど真ん中”の理由は、以下の点に尽きるのではないか。
①日本社会では、いまだに「正社員モデル」への“信仰”が厚い。
②(就職希望者の多い)高校、そして大学は、そうした「信仰」を利用し、少子化のなかでも“生き残り”を賭けて、就職実績をめぐる学校間競争に奔走している。

少なくない若者は、学校卒業後、非正規雇用の形態で働きはじめる。そうした事実を踏まえて、在学中に取り組まれるべきキャリア教育とは、いったいどんな内容になるのだろうか。
結論的に言ってしまうと、僕が必要であると考えるのは、以下のような内容についての学習である。
①「非正規」での働き方の多様な形態、それぞれのメリット・デメリット等についての学習
②次のステップ(例えば、正社員への転換)への見通しの立て方の学習
③公的な職業訓練や求職者支援などについての情報提供
④労働法についての学習、相談・支援機関についての情報提供
⑤同じプロセスを歩むことになる者どうしの仲間づくり


これから社会に漕ぎ出ていく若い人たちには、学校や大学を卒業した時点で正社員になれたかどうかで、「妙な安心感」を持ってしまったり、逆に自分を「見限って」しまったりしないでほしい。正社員になれたとしても、いつ転機がおとずれ、いつ転機がおとずれ、躓くことになるかはわからない。非正規雇用から出発したとしても、その後の転換が不可能なわけではない。
重要なのは、いつ訪れるのかはわからない「いざという時」を意識し、しっかりと“腹をくくる”ことである。そのためには、ふだんから自分を磨いておくこと、頼りになるネットワークを築いておくことが、結局のところ有益な「セーフティネット」になるだろう。



10.02.2013

稼ぐ力 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方(小学館)

久々の更新。本当は毎週でも更新したいところですが、細々と続けていきます。
今回は、本屋で衝動買いした本、『稼ぐ力 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方(大前研一著、小学館、2013年)』について紹介する。


「稼ぐ力」とは、すなわち、余人をもって代えがたいスキルと意欲のある人が持っている力である。出発点は、アンビションであり、目線の高さだ。次にそれを裏付ける筋トレ(=基礎の勉強)と、頭の訓練だ。そして、人生を5年ずつ、8段階くらいに分けて、どんな難題でも解決できるスキルを積み重ねていかなくてはならない。
いきなり成功する、というイメージではなく、大きな絵の中で、一つ一つクリアしながら、組織全体を動かす力を養成していく、というイメージである。とはいえ、その間に、
①英語や日本語を駆使したコミュニケーション能力の向上
②家計、社会心理、政治、経済などのトレンドの追求
③世の中のすべてのものを変えてしまう技術動向の把握
などを同時に学び続けなくてはならない。
(203P)


サラリーマンは年齢を重ねるごとに三つのフェーズで仕事を考えるべき
●第一フェーズ(入社~30代前半)命じられた仕事を覚え、実務を鍛える
20代の終わりから「やるべき仕事を自分で見つけ、それを実行に移していく」「他の人たちを使いながら結果を大きく出せる」といった「社員が自立できる」仕組みにしなければならない。ビジネスマン個人も、この段階で「上司に言われたことをやる」だけでは成長できない。言われなかったら何もできなくなり、第2フェーズに進んだ時に「言われるまでサボる」「自分で判断できない」人材になってしまう。
●第二フェーズ(30代前半~50歳)中間管理職として、身についた実務を生かす「実力発揮期」
5年ずつ、三つくらいの異なる分野を経験し、45歳頃からは次のフェーズに移る準備をする
●第三フェーズ(50歳前後~60代半ば)最後に自分のやりたい仕事をやる「成熟期」
大きく分けて三つの役割が求められる
「全く新しい事業を立ち上げる」
「ダメな事業を立て直す」
「うまくいっている会社の中核事業をさらに伸ばす」
とくに重要なのは「全く新しい事業を立ち上げる」スキルである。というのは、この部門が会社の命運を左右する時代になっているからだ。他の二つも会社にとっては、必要なスキルであり、三つの中のどれが欠けても会社は衰える。、だから、いずれの役割であれ、第三フェーズで大きな成果を残せば経営トップへの道が開けてくる。
会社に残るならトップに就けるよう努力する。そうでない場合には、50歳前後で独立起業したり、転職したりするなど第二の人生を探す。
(105-112P)


もし私が採用面接官だったら何を質問するか
まず「あなたが当社に入社したら、具体的にどんな仕事ができますか?」と質問するだろう。
それに対して「私は協調性があって同僚や部下と円滑に仕事を進めることができます」とか「上司から与えられた仕事は必ずきちんとこなします」とか答えるような人は絶対に採用しない。
また、「あなたは他の人にできないどんなことができますか?三つ挙げてください」と質問する。その時に、たとえば「私は同期の中で売上がトップでした」「私は人一倍努力します」というだけでは採用しない。
そういう人は、単なる体力勝負のモーレツ社員で他の社員より早く起き、遅くまで仕事をしていただけかもしれないからである。それは若いからできることであり、このタイプはたいてい40歳を過ぎると使いものにならなくなる。
続けて「なぜあなたはトップになったのですか?」「あなたの売り方と他の人の売り方はどう違ったのですか?」といった質問をする。
一方、「他の人にできない三つ」を挙げる中で、例えば「新事業を提案して立ち上げ、10億円規模に育てました」「従来の主力商品とは別の商品を売って主力商品と同じくらい売上を伸ばしました」「自分の部署の財務を劇的に立て直しました」といった名札がつく具体的な「物語」を語れる人物なら即採用する。
(80-81P)



7.19.2013

★★ワークシフト(プレジデント社)

「ワークシフト(リンダ・グラットン著、池村千秋訳、プレジデント社)」は新聞やビジネス雑誌でよく取り上げられているため、気になっていて、読んでみた。本の帯には『グローバル社会、超高齢化時代に「幸せに働く」とはどういうことか? 全世代必読「働き方」の決定版』とある。著者は、読者が未来を理解し、未来に押しつぶされない職業生活を切り開く手助けをするために、この本を書いたと述べている。


<要約>

誰でも、「漫然と迎える未来」より、「主体的に築く未来」が好ましいと考える。では、どうすれば好ましい道に進めるのか。まず必要なのは、あなたの頭の中にある固定観念を問い直すことだ。好ましい道を見極めるためには、未来に関して最大限の情報と知識を集める必要がある。(25P)

では、未来に押しつぶされない職業生活を築くために、どのような固定観念を問い直すべきなのか。私たちは三つの面で<シフト>させなくてはならないと、私は考えている。
<第一のシフト>は、知的資本を強化することを目的とするものだ。昔は、幅広い分野の知識と技能を持つ人材が評価されたが、そういう状況は変わると、私は考えている。グローバル化が進展し、テクノロジーが進化して世界が一体化する時代には、あなたと同種の知識や技能をもっていて、しかもあなたより上手に同種の仕事をおこなえる人が世界中に何千人、ことによると何百万人も現れる。そこで未来の世界では、その他大勢から自分を差別化することがますます重要になる。そのために、「専門技能の連続的習得」を通じて、自分の価値(専門分野の知識と技能)を高めていかなくてはならない。未来にどういう技能と能力が評価されるかを知り、その分野で高度な技能を磨くと同時に、状況に応じて柔軟に専門分野を変えることが求められるのだ。また、個人の差別化がますます難しくなるなかで、セルフマーケティングをおこなって自分を売り込み、自分の技量を証明する材料を確立する必要性も高まる。
<第二のシフト>は、難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、斬新なアイデアの源になりうる多様性のある大勢の知り合いのネットワーク、そして活力を補給しストレスを和らげるための打算のない友人関係という、三種類の人的ネットワークを形作っていくこと。それができなければ、自分の力だけで大勢のライバルと競う合わなくてはならなくなる。一言でいえば、私たちは孤独に競争するのではなく、他の人たちとつながり合ってイノベーションを成し遂げることを目指す姿勢に転換する必要がある。
<第三のシフト>は、大量消費主義を脱却し、家庭や趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること。未来の世界を形作る要因の数々を考慮に入れると、私たちはおそらく、高い生活水準を手にするだけでは満足しなくなるだろう。大量に消費することより、上質な経験をすることが望まれるようになると、私は予想している。そういう時代には、際限ない消費に終始する生活を脱却し、情熱をもってなにかを生み出す生活に転換する必要がある。
(26-27、232-235、384-385P)



時差の壁を超えて世界が一つに結びつく傾向は、一九九〇年代以降に本格化した。テクノロジーの発展と新興国の台頭の影響が相まって、グローバル化と一日二四時間・週七日無休状態への流れが一挙に加速する可能性がある。(91-92P)

では、時間に追われる生活を避けるためには、どうすればいいのか。一つのものごとに集中して取り組む時間と、専門分野に深く習熟する機会を増やし、気まぐれと遊びの要素を生活に織り込むためには、なにが必要なのか。自分をすり減らさず、活力と才能を失わずにすむ働き方を実践するためには、どうすべきなのか。そのためには、三つの<シフト>を成し遂げることが効果的だと、私は考えている。
<第一のシフト>で目指すのは、専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと。一つのものごとに集中して本腰を入れることが出発点となる。章の前半で述べたように、高度な専門技能は10000時間を費やしてはじめて身につくという説もある。専門的な技能に磨きをかけたいと思えば、慌ただしい時間の流れに身を任せようという誘惑を断ち切り、10000時間とは言わないまでも、ある程度まとまった時間を観察と学習と訓練のために確保する意思をもたなくてはならない。
<第二のシフト>は、せわしなく時間に追われる生活を脱却しても必ずしも孤独を味わうわけではないと理解することから始まる。目指すべきは、自分を中心に据えつつも、ほかの人たちとの強い関わりを保った働き方を見いだすこと。私たちがあまりに多忙な日々を送らざるをえないのは多くの場合、あらゆることを自分でやろうとしすぎるのが原因だ。強力な人的ネットワークを築ければ、自分の肩にのしかかる負担をいくらか軽くできるだろう。
しかし、時間に追われる日々を避けるうえで最も有効なのは<第三のシフト>だろう。消費をひたすら追及する人生を脱却し、情熱的になにかを生み出す人生に転換することである。ここで問われるのは、どういう職業生活を選ぶのか、そして、思い切った選択をおこない、選択の結果を受け入れ、自由な意思に基づいて行動する覚悟ができているのかという点だ。(92-94P)



仕事に関する古い約束事の核をなすのは、「お金を稼ぐために働く」という考え方だ。しかし未来に向けて、この前提を問い直す必要がある。お金が仕事の重要な要素であることは間違いない。生活していくうえで必要な金額より少ない給料しか受け取れなければ、仕事を通じてどんなに素晴らしい経験ができても、率直に言って意味はない。
心理学者のマズローが指摘したように、人間の欲求にはいくつかの段階があり、低次の欲求が満たされてはじめて、人間は高次の欲求を満たすために行動するようになる。生理的欲求と安全への欲求を満たされれば、私たちは所属と愛の欲求を満たすために行動するようになる(「私が働くのは、友達と楽しく過ごごすためである」)。その次は、承認の欲求に移行する(「私が働くのは、専門技能を高めるためである」)。そして最後は、自己実現の欲求に移行する(「私が働くのは、自分の潜在能力を開花させる機会を得られるからである」)。
お金は、安全の欲求を満たす手段とみなせる。その意味で、お金は欲求のピラミッドの底部に位置する要素だ。それなのに、仕事に関する約束事では、お金が仕事の中核を占めるものであるかのように扱われている。お金があれば幸せが増すのではないか、と考える人は多いかもしれない。しかし、多くの人が低次の欲求を満たしはじめるにつれて、この前提が誤りであることが明らかになりつつある。手に入るお金が増えても、それに比例して幸せが大きくなるとは限らないのだ。
仕事の世界で長く過ごすにつれて、私たちは仕事の金銭的側面に重きを置くようになり、お金を稼げる仕事が悪い経験だという思考様式に染まっていく。稼げる仕事が好ましい経験で、お金を稼げない仕事が悪い経験だという思考様式に染まっていく。こうして、お金を稼ぐことが仕事の最大の目的となり、そのお金で消費することを人生の目的とする発想がいっそう強まる。消費するためにお金を稼ぎ、お金を稼ぐ結果、ますます消費するという循環が生まれる。
では、<第三のシフト>を実践し、お金を最大の目的に働くのではなく、充実した経験を味わうために働くという発想に転換するためには、なにが必要なのか。仕事を通じてさまざまな充実した経験を味わえる可能性があることは、私たちもすでに知っている。この数年、私は大勢の人たちに、次の問いを自問してもらっている--「なぜ、私は働くのか。私はどういう理由で、いまの仕事を選んだのか」。以下は、この問いに対する典型的な回答をいくつか抜き出したものだ。
※私が働くのは、一緒にいて楽しく、いろいろなことを学べる同僚たちと過ごしたいからです。そういう人間関係をとても大切にしています。
※この仕事の好きな点は、手ごわい課題に取り組めることです。難しい課題、本気で努力しないとやり遂げられそうにない課題、そしてアドレナリンが湧き出すような課題に挑むことが楽しいのです。
※いまの仕事の気に入っている点は、柔軟なスケジュールで働けることです。学校が休みの日は、子どもたちと過ごせます。それは、私にとってとても大切なことなのです。
※私が働くのは、学ぶためです。自分のアイデアをすべて実現したいと思っています。私にとって、仕事は学習のための素晴らしい場なのです。
<第三のシフト>を推し進める舞台は整った。産業革命以降、仕事に関する古い約束事のもと、お金と消費が仕事の中核をなしてきたが、それを次のように書き換えることが可能になりつつある。私が働くのは、充実した経験をするため。それが私の幸せの土台だ。
<シフト>をおこなうとは、覚悟を決めて選択することだ。たとえば、ボランティア活動やリフレッシュをする際に長期休暇を取るのと引き換えに、高給を諦めるという選択をしたり、さまざまなリスクを承知の上で起業家への道をせんたくしたり、家族や友人と過ごす時間を確保するために柔軟な勤務形態やジョブシェアリングを選択したりする。未来の世界では、選択しが大きく広がる。昔は企業が社員の代わりにすべてを決めていたが、自立した働き手が自分の働き方を主体的に選ぶケースが増える。主体的な選択を行うためには、これまでより深く内省し、自分の選択がもたらす結果を受け入れる覚悟が必要だ。
哲学者のコーステンバウムらは、次のように述べている。
「選択肢がない」と(本心)で言うのは、人間の性質を否定するに等しい。このような表現を用いるとき、私たちは人間であることをやめ、動物や機械に仲間入りすることを自分の自由意思に基づいて選択しているのだ。

選択肢が広がるなかで、未来に向けておこなわれるべき賢明な選択とは、どういうものなのか。私はこの<第三のシフト>に関して、二つの予測を立てている。一つは、私がどういう未来を作り出すかは、どの会社に勤めているかより、一人ひとりがどういう希望やニーズ、能力をもっているかで決まるということ。もう一つは、私たちの仕事のモチベーションを高めるうえで大きな役割を果たすのがお金と消費ではなく、充実した経験になるということだ。(348-364)





6.11.2013

10年後に食える仕事食えない仕事(東洋経済新報社)

「10年後に食える仕事食えない仕事(渡邉正裕著、東洋経済新報社 2012年2月)」は、各職種がグローバル化がすすむ日本において、競争が厳しくなるのか、そうでないのかを示す指標を示してくれる。競争が厳しくないから、楽だからという理由で、仕事選びすることは、その人の充実感や幸せとは関係のないことだ。だが、どういう位置づけに自分の選ぶ仕事があるかを、事前に知ることによって、社会人として必要な覚悟を強固にすることができるかもしれない。


≪本の主旨≫
グローバル化がいくら進もうが、日本人の仕事として日本に残る仕事は、必ず残り続ける。逆に、グローバル化で減る仕事、賃金相場が限界まで下がり続ける仕事、丸ごとなくなる仕事がたくさん出てくるのも事実だ。だから、自分がどの領域で稼ぐのかを考え、仕事を選び、能力を高めていかねばならない。本書はその航路図となるものを目指して執筆した。(1‐2p)


≪グローバル化時代の職業マップ≫
◆1:重力の世界 <日本人メリット:少、技能集約的>
・グローバルの最低給与水準に収斂されていく
・平均賃金が日本の20分の1のインド人、中国人との勝負
・低付加価値なブルーカラー職種が多い

◆2:無国籍ジャングル <日本人メリット:少、知識集約的>
・世界70億人と仁義なき戦い
・超成果主義の世界
・勝ち残れれば青天井
・才能も運も必要
・顧客と直接接点のない職種が多い

◆3:ジャパンプレミアム <日本人メリット:大、技能集約的>
・日本人ならではの高いサービスマインド、職人気質、チームワーカースピリットを活かす
・「同じ日本人」という信頼感を活用した対面のサービス
・営業マンや旅館の女将など

◆4:グローカル <日本人メリット:大、知識集約的>
・日本人の強みを活かしつつ、高付加価値スキルで勝負
・日本市場向けの高度専門職
・高度な日本語と日本での人的ネットワークを活かす
・「士」業など


≪各職業マップの代表的職業≫
◆1:重力の世界
・店舗販売スタッフ
・旅行会社営業
・人材紹介(データベース系)
・テレアポ営業
・低単価広告枠営業
・中小企業向け事務機器営業・介護福祉士
・コールセンタースタッフ
・インフラ系エンジニア
・プログラマー

◆2:無国籍ジャングル
・メーカー基礎研究者
・会計士
・ディーラー/トレーダー
・財務/経理
・デザイナー
・プロスポーツ選手

◆3:ジャパンプレミアム
・公務員
・住宅営業
・銀行・証券・信金の法人営業
・証券会社の個人営業
・企業向け保険/年金営業
・メガバンク地域営業
・自動車ディーラー
・保険セールス
・海外の対邦人営業
・美容師
・保育士
・人材紹介(ヘッドハンター系)

◆4:グローカル
・記者/編集者
・システムエンジニア
・税理士
・メーカー開発者(高付加価値品)
・医師
・人事のプロ
・コンサルタント
・通訳/翻訳家
・薬剤師/MR
・グローバル営業
・コンサル/IT系ソリューション営業



「重力の世界」の住人になってしまうと、生活保護水準に張り付くことを覚悟しなければならない。「重力の世界」の職業は、日本人メリットがほとんどなく、基本的に正社員として雇う必要もない職業ばかりなので、会社の看板に守られることもない。(154‐155p)

日本国内の雇用の現状はどうなっているのか。「重力の世界」が72.5%(4223万8300人)を占め、圧倒的多数を占めた。なかでも一番人数が多いのは「販売店員」(356万600人)であった。グローバル化が進む一方で何も手を打たなければ、7割の人は職を失って外国人にとって代わられるか、今の日本の最低賃金よりもさらに低い「グローバルの最低賃金」に張り付いて海外に出稼ぎに行くしかなくなる。(194‐197p)






12.01.2012

【キャリア】ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪(文春新書)

「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪(今野晴貴著、文春新書・2012年11月)」は就職を控えた学生にぜひ一読してほしい本である。厳しくなる一方の生活の中で、どう生きていくかを考えるためには、この本に書かれてある社会の現実を知らなければならないと思う。

<以下、本書から抜粋>

◆ブラック企業に共通する特徴
・入社してからも終わらない「選抜」があること
・会社への極端な「従順さ」を強いられる
・自社の成長のためなら、将来ある若い人材を、いくらでも犠牲にしていくという姿勢
※経営が厳しいから労務管理が劣悪になるのではなく、成長するための当然の条件として、人材の使い潰しが行われる。いくら好景気になろうが、例え世界で最大の業績を上げようが、彼らの社員への待遇は変わることがない。社内の選抜と、「従順さ」の要求には終わりがないのだ。
(61P)

◆働き続けることができない点で、すべてのブラック企業は共通している。ブラック企業がいくら増えたところで、そして、彼らがいくら雇用を増やしたところで、そして、彼らがいくら雇用を増やしたところで、若者にとって安心して働ける社会は訪れない。それどころか、彼らにとって、新卒、若者の価値は極端に低い。「代わりはいくらでもいる」、取り換えのきく「在庫」に過ぎない。大量に採用し、大量に辞めていく。ベルトコンベアーに乗せるかのように、心身を破壊する。これら大量の「資源」があってはじめてブラック企業の労務管理は成立する。「代わりのいる若者」は、ブラック企業の存立基盤なのである。「正社員になること」を唯一の解答として与えられてきた若者にとって、正社員になったとしても、必ずしも安定が保証されないという事実は、残酷としかいいようのない事態である。いまやどれだけ競争して、正社員を目指したとしても、そしてたとえその競争に「勝利」したとしても、個人的にすら問題は解決しない。ブラック企業の問題は、格差問題が、非正規雇用問題から、正社員を含む若者雇用全体の問題へと移行したことを示している。
(62-63P)

◆ブラック企業の若者を食いつぶす動機
1.「選別」(大量募集と退職強要)……大量に採用したうえで、「使える」者だけを残す。これは、利益を出し続けるためには、ぜひともかなえたい、企業の欲望。→入社後も続くシューカツ、戦略的パワハラ
2.「使い捨て」(大量募集と消尽)……若者に対し、心身を消耗し、働くことができなくなるまで過酷な労働を強いる。→残業代を払わない、異常な36協定と長時間労働、辞めさせない
3.「無秩序」……パワハラやセクハラ→職場崩壊
※これらは、「代わりがいくらでもいる」状態を背景とし、会社の労務管理自体が機能不全を引き起こしている状態である
(78-79p)

◆辞めさせる「技術」が高度になってきた
1.「カウンセリング方式」……個別面談で抽象的な目標管理を行い、自己反省を繰り返させる。本人は自分が次第に雇用されるに値しない無能な存在だと認識していく
2.「特殊な待遇の付与」……「みなし社員」「準社員」「試用期間」など、辞めることを前提とした呼称を設けることで、自分から辞める決意を促す方式。この場合には、例えば「退職かみなし社員かを選びなさい」といった選択が迫られる。大概の若者は突然の申し出に冷静に判断できない。
3.「ノルマと選択」……過剰なノルマを課すケース。
(114-116p)

◆うつ病になるまえに、5つの思考・行動を(ブラック企業と対峙するための基本的な考え方)
1.自分が悪いと思わない
2.会社のいうことは疑ってかかれ
3.簡単にあきらめない
4.労働法を活用せよ
5.専門家(ユニオンやNPO)を活用せよ
(126-130P)

◆非正規雇用の変化と永遠の競争
ブラック企業にとって「代わりはいくらでもいる」という追い風の要因の一つが非正規雇用増加とその変化である。「労働力調査」(総務省)によると、2000年から2011年にかけて、15歳から24歳の労働者のうち、非正規雇用の割合は、男性で19,8%から29.4%に、女性で、27.0%から37.7%に増加しており、特に若年層で非正規雇用が際立って増加している。従来の非正規雇用はパート、アルバイトが主要なもので、これは主に「主婦」や学生、定年後の高齢者に担われていた。そのためパート労働は「家計補助型」と呼ばれているように、自らの稼ぎだけで生活を維持するわけではないものと扱われた。ところが、近年こうした非正規雇用の構図が崩れてきた。「家計補助型」ではない「家計自立型」と呼ばれるような非正規雇用がこの間急激に増加している。1997年には208万人であった家計自立型非正規雇用は、2007年には434万人にまで増加した。家計自立型非正規雇用の特徴は、従来のパート労働等よりは若干時給が高く1000円前後、月収は20万円前後と「ぎりぎり」生活できる水準にあるということだ。これらの雇用は、「契約社員」「派遣社員」という新しい呼び方がつけられていることが多い。派遣や契約社員が正社員を目指す過程では、正社員なみの「無限の命令」を引き受ける必要がある。若者は「非正規に安住する」ことすらできなくなってきた。ブラック企業にとっては、非正規雇用を「トライアル」させて、使えなければ辞めさせる。「代わり」は新卒からいくらでも補充できる。また、、「トライアル」から良い者を選抜することで、いつでも正社員を退職強要の対象として、辞めさせることもできる。こうして、非正規雇用の「トライアル」化は、ブラック企業に「代わり」を供給する。
(198‐202p)




8.28.2012

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?(星海社新書)

「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?(木暮太一著、星海社新書・2012年4月)」は資本主義の負の部分がさらっと分かる内容。エッセンスを以下に抜き出してみた。



みなさんは、いまの自分の働き方に満足していますか?
みなさんは、いまのその働き方をずっと続けていきたいと思っていますか?

なぜ、わたしたちの働き方はこんなにもしんどいのか?
なぜ、社会や経済は十分豊かになったのに、働き方は豊かにならないのか?
どうすれば、「しんどい働き方」から抜け出せるのか?

なぜ、こんなに成果をあげたのに、給料が大して上がらないのか?
なえ、あなたの生活に余裕がないのか。

それは、給料の基準になっている「労働力の価値」が「明日も同じ仕事をするための必要経費」で決まり、また、その「必要経費」が年齢とともに上がっていくからです。

労働力の使用価値を高めよう(=ノルマをクリアしよう、長時間働いて残業代を稼ごう、仕事に全精力を集中していればいつか必ず成長する」と考えている人は多くいます。
しかし、「労働力の価値を高めよう」と明確に意識している人は、ほとんどいません。
資本主義の構造を理解せずに、日々「自分の労働力の使用価値」だけで稼ごうとしている人がなんと多いことか。
これでは疲労して当然です。

労働力の価値を上げたいのであれば、「知識」「技術」「ノウハウ」などの移り変わりが少なく、「積み上げ」をしやすい仕事(職種)を選ぶべきです。
こう考えると、変化の波に巻き込まれない、労働力がコモディティ化しない業界や職種において、「賞味期限が長い知識・経験」をコツコツ積み上げていくことが、わたしたちが目指すべき働き方になります。
賞味期限が長い知識・経験とは何か?
たとえば、会計の知識や営業力、その業界で成功するために必要な人脈などが「正味期限が長い知識・経験」です。

さらに、自分の資産として積み上げる知識・経験は、賞味期限が長いことに加えて、「身につけるのが大変で時間がかかるもの」でなければいけません。
いくら賞味期限が長くても、誰でも簡単に短時間で身につけられるものであれば、資産にはなりえないからです。
「他人から評価され、お金をもらえるくらい”大変な”資産」でなければ、意味がないのです。


数年前から「ブラック企業」という言葉が一般化しました。待遇はそれほど良くないのに極端に働かされたり、制度が整っておらず労働者としての権利を享受できないような企業を総称して、そう呼んでいます。
しかし本来、資本主義経済のなかで働くということは、(法律の範囲内で)ギリギリまで働かされることを意味しています。
程度の差はあれ、資本主義経済のなかで生きる企業は、みんな元来ブラックなのです。
わたしは「企業が悪い!経営者はみんな悪者だ!」と言いたいのではありません。
むしろ「労働者の働き方に責任があるのは、労働者自身である」ということをお伝えしたいのです。

現代の日本では、その資本主義の世界のなかでどう振る舞うかは、各自に委ねられています。少なくとも法律上は、自分で自由に判断して、自由に行動してかまいません。
ところが、多くの人は自分の働き方に関してあまりにも考えてきませんでした。
そして、考えてこなかった結果として、資本主義の世界にどっぷり浸かり、完全に資本主義ルールのなかで「搾取」されているのです。
そう考えると、その企業を「ブラック」にしているのは「あなた自身」なのかもしれません。
企業がブラックなのではなく、自分で自分を「ブラックな働き方」に追い込んでいるのかもしれないのです。
そこから抜け出すためには、ひとりひとりが自分の頭で考えていくしかありません。
どうすればブラックな働き方をしなくて済むか?
資本主義のなかで幸せに暮らすためには、どう働けばいいか?
考えて行動に移さなければ、引きつづき資本主義の世界で、資本主義のルールにのっとって、半自動的にブラックな働き方を続けることになります。






5.03.2012

就活のまえに ~良い仕事、良い職場とは?~(ちくまプリマ―新書)

「就活のまえに ~良い仕事、良い職場とは?(中沢孝夫著、ちくまプリマ―新書・2010年1月)」は、就職を控えた学生向けに書かれた本。著者の実際の仕事現場への取材をもとに、半世紀近くの社会人経験が踏まえられた本で、学生への愛情を感じる本である。情報にまどわされずに、何を大事にすべきかを、考えさせる本であり、就職本としては、原点・基礎になる本である。

◆はじめに 働く場所は無数にありますが、その中には「良い仕事」と「良い職場」があります。長くそこで働くことが可能で、かつ人間として成長させてくれるところが、「良い仕事」であり「良い職場」です。しかし誰にでも共通する「良い場所」があるということではありません。また仕事それ自体は肉体的、精神的につらいことが多い職場であっても、仲間との関係や自分自身の積み重ねによって「良い場所」へと変化させることも可能ですし、あるいは逆に仕事に特別な意味を求めないという生き方もあります。しかし、社会で積極的に生きていくためには、なるべく仕事を「良い」ものにしたほうが楽しいといえるでしょう。(15p)

◆良い仕事とは?良い職場とは? 「良い」「悪い」は主観的なものですが、私がこの場で「良い」というのは、長期にわたって本人が努力する限り、成長を助ける仕組みを持っている職場のことです。企業が社会に提供している品物やサービスに、新しい価値を付け加えるためには人材育成は絶対条件です。 単純そうに見える仕事でも、決してそんなことはなく全体との関連のなかで、長い時間をかけることにより、達成感や感動を手にすることができたりします。それゆえ良い会社は、一年後、三年後、そして十年後といった時間幅での成長の目標を示すことができるのです。もちろん、自分で「こうなりたい」とか「ああなりたい」といった目標をもつことはもっと大切かもしれません。 またその良い職場には、必ずといってよいほど「目標となる人物」がいます。つまり「ああいう人になりたい」と思えるような先輩がいるものなのです。そういう意味で、大学生に向かって「即戦力」を求めるような会社はいかがなものかと思います。(17-19p)

◆内面からの動機づけ 人が一生懸命に働くためには、何らかの動機が必要です。それは「外から与えられる動機」と「自分の内面から生ずる動機」とに分かれます。「外から」というのはいうまでもなく、より多くの報酬や地位(出世)を与えられることになります。あるいは逆に、いいかげんであったり、会社に不利益を与えたりしたら罰せられます。こうした動機づけを「賞罰の規定」といいます。内面からというのは、マズローの説明で十分ですが、もう少し別の見方をしますと、大切な基本は「いいかげんなことはしない」「相手に不利益になることはしない」といったこと、そして「相手にとってよいこと」をすることのように思います。(190-191p)


1.22.2012

★★僕は君たちに武器を配りたい(講談社)

「僕は君たちに武器を配りたい(瀧本哲史著、講談社・2011年9月)」は、昨年購入した本。就職を控えた学生向けに、おすすめである。帯には「20代が生き残るための思考法!!」とある。著者は日本の市場が収縮する中で、これからの若者の生き方に新たな提案を投げかけている。「サラリーマンとは、ジャンボジェットの乗客のように、リスクをとっていないのではなく、実はほかの人にリスクを投げっぱなしで管理されている存在なのである(230p)」と、著者は警鐘する。「もしあなたが小売店に勤める一介の店員だったとしても、時給で働くのではなく、売り上げに応じて報酬を得られる形にできないか店長と交渉することで、投資家的に働くことができる。一人の労働力としてではなく、投資家として働けば、その店に足りないものが何なのか、どうすればもっとお客さんが来店してくれるのか、客単価を高めるためにはどうすれば良いのか、さまざまな発想が湧き上がってくる。そうして自分の頭で考えることが投資家的に生きることの第一歩になるのだ(269p)」。


◆「スペシャリティ」だけが生き残れる
これからの日本では、単なる労働力として働く限り、コモディティ化することは避けられない。人より勉強をするとか、スキルや資格を身につけるといった努力では、コモディティ化の潮流から逃れることはできない。「スペシャリティ」になることだけが逃れる手段だ。要するに「ほかの人には代えられない、唯一の人物(とその仕事)」のことである。(38-39p)

◆就職ランキングに見る生き残る会社、ダメな会社
現在の日本で、安定した職場というのは本当にあるのだろうか。週刊誌やビジネス誌ではよく「良い会社、悪い会社」といった特集を組んで分析しているが、はっきり言えば「そんなものはない」というのが私の結論である。(87p)

◆ブラック企業の見分け方
「入ってはいけない会社」の見分け方について、具体的にアドバイスしたい。まずベンチャー企業で注意すべきなのは、新しいサービスや市場で、非常に業績を伸ばしているように見える会社だ。売る商品が決まっていて、急激に拡大している市場があり、多数の会社がその市場に殺到しているときは、シェアの奪い合いになる。そのために短期間に大量の営業社員を募集する必要が出てくるわけだが、得てしてそういう会社はブラック企業になりやすい。会社側も人材を長期的に育成しようとは考えておらず、ひたすら営業をさせて売り上げを立てることを至上命令とする。ノルマが達成できない営業マンは、当然給料が低いまま上がらず、上司からも厳しく当たられる。そのため長く仕事が続けられる社員は少なく、次々に辞めていく。当の会社はテレビコマーシャルなどで社名の認知を上げているので、募集をすればたくさんの応募があるし、社員が辞めたところで居たくも痒くもない。商品を売るスキルもいらないため、営業マンは若くて安い給料で働いてくれるならだれでもよく、短期間で辞めてもらったほうが好都合でもあるのだ。(94-95p)

◆若者を奴隷にする会社
ある経営者は、「うちの会社はお客さんが儲けさせてくれるんじゃなくて、社員が儲けさせてくれるんです」と述べていたが、現代においても形を変えた「奴隷ビジネス」はまだ続いているのである。同じことは中小企業に限らず、大手企業にもいえる。業種・業界を問わず、商品がコモディティになってしまった業界は、商品を安く仕入れて、安く売るしかない。コモディティ市場で戦う会社は必然的にブラック企業になる運命なのだ。(100-101p)

◆ニッチな市場に目をつける
これから就職や転職を考える人は、マクロな視点を持ちつつ、「これから伸びていき」「多くの人が気づいていない」ニッチな市場に身を投じることが必要なのだ。つまり就職においても「投資家的視点」を持っているかどうかが成否を左右するのである。どのような会社に就職すべかについて悩む人に、最後にこの言葉を贈りたい。高級ホテルチェーンを世界で経営するマリオット・グループは、ホテルマネージャーの心得として次のように述べている。「従業員に対してお客さまのように接しなさい。そうすれば従業員はあなたが接したように、お客さまに接するでしょう」つまり従業員を大切にする会社は、顧客を大切にする会社なのである。逆に言えば、顧客を大切にしない会社は、従業員も大切にしない会社なのだ。(103-104p)

◆人生は短い。戦う時は「いま」だ。
時には周囲から「ばかじゃないのか」と思われたとしても、自分が信じるリスクをとりにいくべきだ。自分自身の人生は、自分以外の誰にも生きることはできない。たとえ自分でリスクをとって失敗したとしても、他人の言いなりになって知らぬ間にリスクを背負わされて生きるよりは、100倍マシな人生だと私は考える。リーマンショック以降の日本では、資本主義そのものが「悪」であるかのように見なされる風潮がある。しかし資本主義それ自体は悪でも善でもなく、ただの社会システムにすぎない。重要なのは、そのシステムの中で生きる我々一人ひとりが、どれだけ自分の人生をより意味のあるものにしていくかだ。若手の経済評論家の中からは、「既得権益を握っている高齢世代から富を奪え」というような意見も聞かれるが、社会全体のパイが小さくなっているときに、世代間で奪い合いをすることには意味がない。才能がある人、優秀な人は、パイを大きくすること、すなわちビジネスに行くべきだ。パイ全体が収縮しているときに、分配する側に優秀な人が行っても意味がない。誰が分配しようが、ない袖は振れないからだ。社会起業家とか公務員という選択は、社会に富が十分にあって分配に問題がないときなら意味があるだろう。だが分配する原資がなくなりつつあるのが、今の時代ではないだろうか。人生は短い。愚痴をこぼして社長や上司の悪口を言うヒマがあるのなら、ほかにもっと生産性の高いことがあるはずだ。もし、それがないのであれば、そういう自分の人生を見直すために自分の時間を使うべきだ。(287-288p)