5.12.2012

親は知らない就活の鉄則(朝日新書)

今回は「親は知らない就活の鉄則(常見陽平著、朝日新書・2012年1月)」を紹介。この本が書かれた動機は、就活をめぐる親の残念な行動を目撃し、子どもの就活を歪めるバカ親を著者が何とかしなくてはと思ったから(216p)という。親がするべき応援とはどんなものかが、現実的に、かつ実践的に書かれてあるので、就活生をもつ親にとっては、子どもを理解する良い参考書となると思う。


◆こういう言葉に子どもは傷つく
親の一言に子どもは敏感にさまざまな思いをもつものなのだ。
親の傷つく一言は大きく分けて次のように区別できる。
1:志望先、受験先の会社について「知らない」とか「やめなさい」と言われる
2:大企業や公務員をすすめ「安定していていいわよ」と言われる
3:試験に落とされて自信を失っているときに、性格を否定される
4:落ちたことを言うと「また?」のように、「まだ決まっていないことを自覚させられる言葉」を言う
(167-169P)

◆大学生活を楽しみ尽くして、かつ就活がうまくいった学生に共通していたことのひとつが「親との関係が良好」であることだ。良好とは、「親は子どもに対して、マナーやルールなどのいくつかの基本的な決まりごとを守らせながらも、人生の意思決定は本人にさせていた」ということ。例えば、「マナー」や「身だしなみ」。ちょっとしたしぐさや発言に、今まで親に教えられてきたかどうかが出る。また、「人生観」や「仕事観」を親子で折に触れて語っておくのもいいことだと思う。「なぜ、人は働くのか」「なぜ、自分はその仕事を選んだのか」。自分なりの考え方でかまわないから自分の言葉で親が語ることに価値がある。(188-189p)

◆若者が自信をつける方法とは何か。方法はふたつしかない。自信がもてるような体験をするか、褒められるかだ。ただ、たいていの若者は前者がないから困っている。だから、「褒める」という行為が大切なのである。就活がうまくいっている子の親は、この「褒める」がうまい。(191p)

◆あなたの家の茶の間には、新聞やビジネス誌があるだろうか。もし、子どもが実家暮らしだったとしたら、いつもこれらのメディアが身近なところにある状態にしたい。就活がうまくいく学生の特徴は、幅広い情報源に接していることである。「情報」と聞くと、きっとネットを連想するだろう。しかし、以外にもネットだけでなく、新聞やビジネス誌に接していた学生はうまくいっている。テレビやネットに比べ、新聞代や雑誌代金、書籍代は有料だ。だからお金のない学生たちは、ついついそれらの情報源を購入するのをためらってしまう。だからこそ、親の出番だ。「子供に買い与える」というスタンスではなく、新聞やビジネス誌を親が買ってきて、さりげなく茶の間にあるくらいがいいだろう。(196-197p)