10.02.2013

稼ぐ力 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方(小学館)

久々の更新。本当は毎週でも更新したいところですが、細々と続けていきます。
今回は、本屋で衝動買いした本、『稼ぐ力 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方(大前研一著、小学館、2013年)』について紹介する。


「稼ぐ力」とは、すなわち、余人をもって代えがたいスキルと意欲のある人が持っている力である。出発点は、アンビションであり、目線の高さだ。次にそれを裏付ける筋トレ(=基礎の勉強)と、頭の訓練だ。そして、人生を5年ずつ、8段階くらいに分けて、どんな難題でも解決できるスキルを積み重ねていかなくてはならない。
いきなり成功する、というイメージではなく、大きな絵の中で、一つ一つクリアしながら、組織全体を動かす力を養成していく、というイメージである。とはいえ、その間に、
①英語や日本語を駆使したコミュニケーション能力の向上
②家計、社会心理、政治、経済などのトレンドの追求
③世の中のすべてのものを変えてしまう技術動向の把握
などを同時に学び続けなくてはならない。
(203P)


サラリーマンは年齢を重ねるごとに三つのフェーズで仕事を考えるべき
●第一フェーズ(入社~30代前半)命じられた仕事を覚え、実務を鍛える
20代の終わりから「やるべき仕事を自分で見つけ、それを実行に移していく」「他の人たちを使いながら結果を大きく出せる」といった「社員が自立できる」仕組みにしなければならない。ビジネスマン個人も、この段階で「上司に言われたことをやる」だけでは成長できない。言われなかったら何もできなくなり、第2フェーズに進んだ時に「言われるまでサボる」「自分で判断できない」人材になってしまう。
●第二フェーズ(30代前半~50歳)中間管理職として、身についた実務を生かす「実力発揮期」
5年ずつ、三つくらいの異なる分野を経験し、45歳頃からは次のフェーズに移る準備をする
●第三フェーズ(50歳前後~60代半ば)最後に自分のやりたい仕事をやる「成熟期」
大きく分けて三つの役割が求められる
「全く新しい事業を立ち上げる」
「ダメな事業を立て直す」
「うまくいっている会社の中核事業をさらに伸ばす」
とくに重要なのは「全く新しい事業を立ち上げる」スキルである。というのは、この部門が会社の命運を左右する時代になっているからだ。他の二つも会社にとっては、必要なスキルであり、三つの中のどれが欠けても会社は衰える。、だから、いずれの役割であれ、第三フェーズで大きな成果を残せば経営トップへの道が開けてくる。
会社に残るならトップに就けるよう努力する。そうでない場合には、50歳前後で独立起業したり、転職したりするなど第二の人生を探す。
(105-112P)


もし私が採用面接官だったら何を質問するか
まず「あなたが当社に入社したら、具体的にどんな仕事ができますか?」と質問するだろう。
それに対して「私は協調性があって同僚や部下と円滑に仕事を進めることができます」とか「上司から与えられた仕事は必ずきちんとこなします」とか答えるような人は絶対に採用しない。
また、「あなたは他の人にできないどんなことができますか?三つ挙げてください」と質問する。その時に、たとえば「私は同期の中で売上がトップでした」「私は人一倍努力します」というだけでは採用しない。
そういう人は、単なる体力勝負のモーレツ社員で他の社員より早く起き、遅くまで仕事をしていただけかもしれないからである。それは若いからできることであり、このタイプはたいてい40歳を過ぎると使いものにならなくなる。
続けて「なぜあなたはトップになったのですか?」「あなたの売り方と他の人の売り方はどう違ったのですか?」といった質問をする。
一方、「他の人にできない三つ」を挙げる中で、例えば「新事業を提案して立ち上げ、10億円規模に育てました」「従来の主力商品とは別の商品を売って主力商品と同じくらい売上を伸ばしました」「自分の部署の財務を劇的に立て直しました」といった名札がつく具体的な「物語」を語れる人物なら即採用する。
(80-81P)