6.01.2010

【子ども】子どもの将来は「寝室」で決まる(光文社新書)

『子どもの将来は「寝室」で決まる(篠田有子著、光文社新書)』は、家族の寝かたが、子どもの成長に非常に重要だということを教えてくれる本である。子どもをもつパパ・ママにおすすめの本である。

以下、抜粋。

子どもが持って生まれた知的能力を、十二分に開花させるためには、その前に感覚器官が十分に発達していなければなりません。その感覚器官の発達には、十分な遊びの体験とともに自分が愛されているという実感が不可欠です。感性豊かで、情緒の安定した子ども時代があって初めて、将来のお子さんの知的な能力の開花が約束されます。そこで、我が子に愛情溢れた温かい人間関係を与えられるか否かは、幼い頃の家族の寝かたがカギとなるのです。
(8P)

これまでの調査の結果明らかになった、家族の寝かたの種類と、その寝かたを選んでいる家族の情緒的人間関係と幼児の育ちの特徴を一覧表にして、結論をまず提示することといたしましょう。

(1)母親は真ん中に寝る「母親中央型の幼児」⇒情緒的に安定、社会性や自立心育つ
・子との距離をとり、この自立をこころがけ見守る、やさしいけれど厳しい父親
・夫を厳父として立て、子を甘やかさず、父子の関係を演出する母親
・母子関係、父子関係とも密接だが、親子のけじめあり
・夫婦は、お互いを最愛の伴侶と見なしている

(2)子どもが真ん中に寝る「子ども中央型の幼児」⇒情緒は安定するが、社会性や自立心は遅れがち
・育児に参加し、子への働きかけも多い父親
・夫の協力を得て育児を楽しむ母親
・父親も母親も子との一体感が強く、子の自立を促進する意欲に欠け、過保護がちで、友だちのような親子
・夫婦は、対等なパートナーであり、お互いを子どもの父親/母親と認識する傾向

(3)父親が母子と離れて別室に寝る「父親別室型の幼児」⇒情緒は安定せず、自立心も未熟
・育児は母親まかせで、父親役割にもっとも無関心な父親
・全面的に育児の責任を負わされて、極端に子に密着しがちな母親
・母子間は一応安定しているが、父子の関係は育ちにくく、母子対父親という型が定着
・夫婦は、子育てをめぐる協力態勢に欠け、夫婦の親密性は弱く、お互いを同居人のように認識する傾向

(4)子どもが父母と離れて別室に寝る「子ども別室型の幼児」⇒情緒は安定しないが、自立心は強い
・欧米流の厳父をめざし、子との距離を大事にする父親
・同じく子との距離を保ち、早く子離れしなくてはと考えている母親
・お互いに親近感が希薄で、精神的なつながりや一体感は生まれにくく、他人の関係に近くなる
・夫婦は子供より夫婦優先。お互いを伴侶と見なす夫婦ですが、子育てをめぐっての強力態勢は不十分

(5)父母と同室でベビーベッドで寝る「子ども分離型の幼児」⇒情緒は安定せず、自立心も未熟
・幼児の育ちは父親別室型に近い


母親中央型と子ども中央型が発達の上位を占めること、さらに次に来るのが母子隣接の父親別室型で、子ども別室型より上になるということから、幼児期の発達にとって、母親に愛されている安心感、満足感がいかに重要かが分かります。
よって、「幼児の発達にとって、母と子の距離は近ければ近いほど好ましい。そして、母と子の距離が近ければ、たとえ父子の距離が遠くても影響は少ない」と言えます。
また「幼児の発達にとって、父と子の距離は近いほど好ましいとはいえ、その位置は適度な距離が望ましい」と言わなければなりません。
たしかに幼児期は、子ども中央型のほうが母親中央型より発達は上位です。しかし自立という面では父子間の距離が近すぎる子ども中央型は、母親中央型より子どもの甘えを抑制できず、不正が作用しにくいという面があります。一方、父子間が遠すぎても、父親別室型のように母子密着を助長したり、子ども別室型のように情緒不安にする傾向があります。
最後に、「幼児の発達にとって、夫婦の情緒的関係も大切」と言っていいでしょう。
父と子の距離の近い父子同室の母親中央型と子ども中央型の夫婦は、父と子が別室に寝る父親別室型と子ども別室型の夫婦より、家事・育児に関して夫婦がことばや行為で支えあっています。この両親の良好な情緒的関係が、幼児のこころに安定をもたらすため、父子別室に寝る幼児より好ましい発達が見られるのではないかと思われるからです。
(45-48P)