8.28.2012

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?(星海社新書)

「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?(木暮太一著、星海社新書・2012年4月)」は資本主義の負の部分がさらっと分かる内容。エッセンスを以下に抜き出してみた。



みなさんは、いまの自分の働き方に満足していますか?
みなさんは、いまのその働き方をずっと続けていきたいと思っていますか?

なぜ、わたしたちの働き方はこんなにもしんどいのか?
なぜ、社会や経済は十分豊かになったのに、働き方は豊かにならないのか?
どうすれば、「しんどい働き方」から抜け出せるのか?

なぜ、こんなに成果をあげたのに、給料が大して上がらないのか?
なえ、あなたの生活に余裕がないのか。

それは、給料の基準になっている「労働力の価値」が「明日も同じ仕事をするための必要経費」で決まり、また、その「必要経費」が年齢とともに上がっていくからです。

労働力の使用価値を高めよう(=ノルマをクリアしよう、長時間働いて残業代を稼ごう、仕事に全精力を集中していればいつか必ず成長する」と考えている人は多くいます。
しかし、「労働力の価値を高めよう」と明確に意識している人は、ほとんどいません。
資本主義の構造を理解せずに、日々「自分の労働力の使用価値」だけで稼ごうとしている人がなんと多いことか。
これでは疲労して当然です。

労働力の価値を上げたいのであれば、「知識」「技術」「ノウハウ」などの移り変わりが少なく、「積み上げ」をしやすい仕事(職種)を選ぶべきです。
こう考えると、変化の波に巻き込まれない、労働力がコモディティ化しない業界や職種において、「賞味期限が長い知識・経験」をコツコツ積み上げていくことが、わたしたちが目指すべき働き方になります。
賞味期限が長い知識・経験とは何か?
たとえば、会計の知識や営業力、その業界で成功するために必要な人脈などが「正味期限が長い知識・経験」です。

さらに、自分の資産として積み上げる知識・経験は、賞味期限が長いことに加えて、「身につけるのが大変で時間がかかるもの」でなければいけません。
いくら賞味期限が長くても、誰でも簡単に短時間で身につけられるものであれば、資産にはなりえないからです。
「他人から評価され、お金をもらえるくらい”大変な”資産」でなければ、意味がないのです。


数年前から「ブラック企業」という言葉が一般化しました。待遇はそれほど良くないのに極端に働かされたり、制度が整っておらず労働者としての権利を享受できないような企業を総称して、そう呼んでいます。
しかし本来、資本主義経済のなかで働くということは、(法律の範囲内で)ギリギリまで働かされることを意味しています。
程度の差はあれ、資本主義経済のなかで生きる企業は、みんな元来ブラックなのです。
わたしは「企業が悪い!経営者はみんな悪者だ!」と言いたいのではありません。
むしろ「労働者の働き方に責任があるのは、労働者自身である」ということをお伝えしたいのです。

現代の日本では、その資本主義の世界のなかでどう振る舞うかは、各自に委ねられています。少なくとも法律上は、自分で自由に判断して、自由に行動してかまいません。
ところが、多くの人は自分の働き方に関してあまりにも考えてきませんでした。
そして、考えてこなかった結果として、資本主義の世界にどっぷり浸かり、完全に資本主義ルールのなかで「搾取」されているのです。
そう考えると、その企業を「ブラック」にしているのは「あなた自身」なのかもしれません。
企業がブラックなのではなく、自分で自分を「ブラックな働き方」に追い込んでいるのかもしれないのです。
そこから抜け出すためには、ひとりひとりが自分の頭で考えていくしかありません。
どうすればブラックな働き方をしなくて済むか?
資本主義のなかで幸せに暮らすためには、どう働けばいいか?
考えて行動に移さなければ、引きつづき資本主義の世界で、資本主義のルールにのっとって、半自動的にブラックな働き方を続けることになります。